2016年11月6日日曜日

貧困ジャーナリズム賞 琉球新報紙「子の貧困」報道に

貧困ジャーナリズム賞 本紙「子の貧困」報道に
2016年9月24日 琉球新報

 【東京】貧困問題への理解と関心を持ち、顕著な報道活動を行ったジャーナリスト個人を表彰する「貧困ジャーナリズム大賞2016」(反貧困ネットワーク主催)の授賞式が23日、都内で開かれ、
貧困ジャーナリズム賞に琉球新報「子どもの貧困」取材班の一連の報道が選ばれた。
大賞は朝日新聞の錦光山雅子記者による「中学制服代の地域格差の実態を明るみに出した一連の報道」が選ばれた。

 琉球新報の子どもの貧困を巡る一連の報道は取材班の岩崎みどり、黒田華、稲福政俊、高江洲洋子、新垣梨沙、知花亜美、明真南斗、滝本匠の各記者が担当した。

 54回にわたって掲載した連載「希望この手に」が「沖縄の子どもの貧困状況を多面的に報告し解決に向けたヒントを提示した」と評価され、
市町村ごとの対策の格差を比較報道したことも審査員の共感を得た。

 授賞式で反貧困ネット代表世話人の宇都宮健児さんから賞状を受け取った黒田記者は
「貧困報道をこれからも継続的にやっていかなければならない」と語った。
大賞のほかに貧困ジャーナリズム特別賞に3人、
貧困ジャーナリズム賞に琉球新報を含め9人(団体)が表彰された。

以下、「グローバル化が発展途上国の格差を拡大
の一部を引用させていただきました。

--引用開始--
 グローバル化が進み、世界の市場では格差が広がっています。発展途上国では貧困が拡大しています。Nancy Birdsallによるとこの格差には3つの原因が考えられます。彼女のフィンランドでの講義「新グローバル社会の格差」を聞いてみましょう。

 21世紀に入り世界はますますフラットになっているという言い方がされます。トーマス・フリードマンの"世界はフラット"がベストセラーになっています。アメリカは、中国やインドにたいしても危機感を持たねばならない。もし、これらの国々の新しい流れに乗ることができなければ、アメリカ中心の経済は、終わるだろう、と言っています。

 この発言は正しいです。新しい経済では、アメリカが支配することが難しいのは事実です。
 しかし、実際の世界はもちろんフラットではありません。それよりも、多くの国々は、クレーターの中に入ったような状況です。

 このクレーターはとても深く、簡単には出られません。
 世界的な格差も大きく広がっています。アメリカ、ヨーロッパ、日本は、エチオピアやハイチ、ネパールよりも100倍以上豊かです。
 先進国は、過去100年で発展してきましたが、途上国はまったく発展していません。
 インドや中国が急速に発展しているのも、この状況の打破を目指した結果です。しかし、その行動すら取れない国があるのも事実です。

 なぜ格差が問題か。
 国内、世界の状況を見てみましょう。
 まず、発展途上国では、ビジネスが少なく、社会の不正も起こりやすいです。
 その結果、経済を壊滅的な状況に追い込みます。


http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000026271631
厚生労働省の毎月勤労統計調査の統計表一覧、季節調整済指数及び増減率11(実質賃金 季節調整済指数及び増減率、現金給与総額(5人以上))から(1月-3月)データを抽出
http://www.stat.go.jp/data/gousei/soku10/zuhyou/1s.xls
総務省統計局家計消費指数 結果表(平成22年基準)の、総世帯の家計消費指数のデータから、実質家計消費指数を抽出

2015年3月6日:ふつうは業績回復が先行し、その後に人件費は増加していく。ところが、現状ではそうなっていない。

2015年6月8日:安倍政権はこれでも派遣法を改悪するのか?派遣労働で貧困にあえぐ”普通の女性たち” 
 http://www.jil.go.jp/press/documents/20150630.pdf

日本と中国の名目GDP(ドル換算)
http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPD&c1=CN&c2=JP
http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPD&s=1980&e=2015&c1=JP&c2=US&c3=&c4=&c5=&c6=


 市場も機能しておらず、政府の対応も貧困を抜け出せず、成長を遅らせるようなものばかりです。

 このように現金が少なく、教育も行き届いていない状況では、豊かな人だけがビジネスで成功できるのです。
 収入が中位以下の家庭では、借金もできず、農園や小さなビジネスでも利益を失うことになります。
 教育も受けられず、将来的には国家の経済的な成長にも貢献できなくなります。

 ラテンアメリカはこういう地域に当てはまります。
 鉱物資源による収入と限られた教育のため、少数の中級家庭と大多数の貧困層で構成されています。
 一方、東アジアでは、第2次世界大戦後には、鉱山などの資源も無かったので、教育と国民の健康に投資をしました。
 また、農業や工業技術に力を入れて生産性を高め、中流階級を育てることができました。

 貧困に陥った国では、政府がうまく機能せず、国民のニーズに答えられません。
 中流と呼ばれる家庭も少ないです。
 その結果、所得分配の格差が進めば進むほど、中流階級は少なくなり、貧困層が拡大します。

 ブラジルでは、所得分布の中位にあたる20%の家計の収入はブラジルの総所得の10パーセントにも及びません。
 その額は約1700ドルで世界的な中流階級に程遠いのも事実です。ちなみにスウェーデンの所得中位層は、ブラジルの約15倍も裕福で、スウェーデン総所得の18パーセントを占めます。)

 しっかりとした中流階級が無ければ、政府は大衆主義(ポピュリズム)と保護貿易主義に振れることになります。
 暴動などを防止、鎮圧するために予算を使うことになります。
 また富裕層は、教育やインフラ整備のための税負担に嫌気がさしてきます。
 ブラジルやナイジェリアでは富裕層の子どもが10年かそれ以上学業をしているのに対し、貧困層の子どもは3~4年ほどしか学習できません。
 ある世代の収入や富の格差は、政府の努力を難しくし、次の世代の格差の解消は一層難しいものとなる。

 グローバル化と格差
 グローバル化が進むと、市場は不均衡になります。そこには3つの理由があります。
(1)初めに、グローバル市場では、利益は等しく分けられません。結局、人的資源、資金、企業家精神の保有者が報われます。
 こういった市場で利益を得る人には教育が大切であることが分かっています。
 特に90年代以降は、教育を受けた人の価値は世界中で上がってきています。

 市場の拡大とネット技術の発達などにより、人材を求めるときに、人数よりも能力の高さ・スキルの必要が高まっています。この結果、国内で格差が生まれています。
 中国とインドはよい例です。能力のある人材の流出も始まり、国家間でも格差が広がり始めます。

 国によってはグローバル化のために、良くない方向に向かっていることもあります。
 マリ、ウガンダ、ベネズエラなどの国では、石油、コーヒー豆、綿花など一次産品の輸出に依存しています。経済を貿易に頼っています。
 しかし、輸出品の値段が下がっているために、成長につなげられません。
 多角化を果たすための投資資金の獲得ができません。
 グローバル経済では、教育が大切なので、しっかりとした施設が必要となります。

(2)グローバル化が不公平をもたらす2つ目の理由は、世界市場が完全市場から程遠いということです。
 たとえば、公害を引き起こした国がその代償を支払わないのは市場の失敗です。
 温室効果ガスをたくさん排出するアメリカはその責任を貧しい国に課しています。タイ、韓国、ロシア、ブラジル、アルゼンチンでの90年代の金融危機は、先進国が政策を間違ったのが問題です。
 全ての市場を停滞させるパニックは収まっても、その影響は国内に残ります。
 子どもが学校を辞めたり、借金に苦しみ国が機能しなくなったりします
(先進国の公債費はGDP比2-3%ですが、後進国は10-40%です。
そして高金利により投資、雇用を縮小させ、
財政的に教育や健康に投ずる余裕を奪い、
失業保険などのセーフティネットも貧弱になります)。

(3)最後の理由として、世界市場では、貿易、移住、知的財産などは自然と先進国の力を反映するので、経済格差が広がるのです。
 裕福な国の農業補助金と途上国を差別する関税を減らす争いは、良い例です。
 ただこれは陰謀ではなく、ヨーロッパ、アメリカ、日本の国内の政策が、西アフリカの綿花の市場などをまったく見ていないのです。
 多国間のルールを作ろうにも実施は困難です。
 アメリカなどの市場から排除されないようにと恐れて、持っている権利を行使することをしない場合も。
 最近の安い薬を生産する権利を獲得できたのは良いことですが。

 グローバル政治
 世界の安全、安定、共存、社会のためにできることは何でしょう。グローバル市場が、お金のある人につられているが、
格差をなくすためにも途上国のために、教育の機会を増やしたり、インフラの整備をしたりしなければなりません。
これは、ミレニアム目標にも定めてあることです。
 グローバル市場は不完全なので、調整をはかって、ルールを決めなければなりません。
 それは、環境(京都議定書など)を守ったり、世界的な経済危機に備えたり、不正な競争制限をなくしていかなければなりません。
 裕福な国の意見だけでなく、多国間での枠組みを作って、
 貧しい国でも表に出やすいようにするためにもっと創造的にならなければなりません。

 ドーハ多国間ラウンドを完了させる必要があるし、新たなグローバル組織(例えば、国連ベース・移民管理局)を考える必要もあるだろう。

 一言で言えば、富と福祉、グローバル経済に対して、
 力強く、良い枠組みや組織についての創造的思考が必要です。
 しかし、アイディアそういった組織を作るには、私たちは不十分で弱い政治であるのも確かです。
 21世紀の目標は、政治組織やルール、習慣を見直し強くすることです。
 そこには、それまで解けなかったようなグローバル市場の不公平な問題、格差に対処していかなければなりません。

by Nancy Birdsall " Globalization will increase inequality in developing countries
梶原佑廣訳
--引用終わり--


 先進国の北欧をはじめとするヨーロッパでは、大学の授業料が無料というだけでなく、大学生に生活費が支給されます。つまり、大学に行きたい人は誰でも生活が保障されて通学することができるのです。 

 それに対して、最近の日本では:
(1)安倍晋三政権は2013年から、貧困層への生活保護基準引き下げ(保護費削減)を実施。
(2)来年度(2015年)は子育て給付金中止、低所得者向けも圧縮ですって。 
(3)「無料塾」継続困難に 来年度(2015年)から国の補助減
琉球新報 9月5日(金)配信
(4)生活保護世帯の学習支援事業 2015年度から国庫補助半減

(5)生活保護のうち家賃として支払う「住宅扶助」について2015年度から引き下げ、2017年度には2014年度と比べ約190億円減額する。
(2015年度予算で食費など生活費に充てる「生活扶助」の約260億円減額も決まっている。そのため、2015年度は実質では計約320億円の減額となる。)
(6)東京都渋谷区が,年末年始の貧困者への炊き出し(食事の提供)をさせないことを目的に宮下公園など3公園を閉鎖

(7)防衛費、補正予算倍に 「経済対策」名目に拡充(2015年1月8日)
http://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/570bb6da12df2260971c725b8b407e80


 アメリカでは、「徴兵制はいらない。貧困があるから」と言われていて、まさに国家規模の「貧困ビジネス」が戦争になっているわけです。

安倍政権の福祉は【兵隊】貧しい若者を兵隊として「食わせる」国防は最大の福祉と!佐藤正久・自民党参院議員
 
△右翼政権は、ボリビアとウルグアイを貧困にしたように、グローバル化による貧困を拡大するようです。


リンク:
TPPのモデルの米韓FTAの裏事情-韓国庶民が破産
大企業栄えて庶民凍死の韓国経済を直視せよ!!
(「ソウル市役所の職員は冬になると毎朝、凍死したホームレスの死体を片付けるので大忙しなんだ。ソウルの地下鉄駅には乞食やホームレスが溢れているからね」
 韓国には国民健康保険も社会福祉制度も皆無であるから病気または失業は即、乞食への転落または死を意味する。 )


TPPが日本の健康保険制度を崩壊させる
アメリカで「TPP」を推進して米政府を操る黒幕たちの正体
(これらのリストを見れば分かるのですが、「アメリカ」という国一つを相手にしているのではなく、その裏にいるこれだけの多国籍企業をTPPは相手にしており、TPPでアメリカと交渉するということは、これらすべての企業を代表するアメリカ政府と交渉する、ということを意味します。
 果たして、日本がTPP交渉の席に着くことができたとして、それで何ができるのか、交渉に適した人物はいるのか、日本の企業はどうするのか、そういうことすべてが問われることになります。
 このTPP交渉を開始すれば、途中で抜け出したり辞めたりすることはできないと言われている意味は、こういうことなのです。)

TPPで懸念される著作権の非親告罪化
TPPで日本の著作権法はどう変わる? (津田大介の「メディアの現場」Vol.56より)
2012年に発効した米韓FTAの知財条項がKEIのリーク情報とほとんど同じだった)
日本の「韓国化」を阻止せよ!:TPPによって日本の「韓国化」「ネオ植民地化」
世界の法律家100人以上がTPPのISD条項導入反対!
ニュージーランド国民の大半が秘密TPP交渉を終わらせたいと考えていることが世論調査で判明
TPP = 絵に描いた餅と引き換えに、我が国(ニュージーランド)の主権を引き渡すもの


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