2012年9月25日火曜日

TPPをめぐる議論の間違い 東京大学 鈴木宣弘

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「TPPをめぐる議論の間違い 東京大学 鈴木宣弘」」
から転載させていただきました。
(図は転載していないので、原文を参照してください)

以下の論文を読んだ感想ですが。
やはりTPPは、多国籍企業をもうけさせるのが目的の条約のようです。



TPPをめぐる議論の間違い
東京大学 鈴木宣弘
 

1. TPPはアジア太平洋地域の貿易ルールになるから参加しないと日本が孤立する
 これは間違いである。米国は、自らはNAFTA(北米自由貿易協定)などで「米州圏」を固めつつ、アジアが米国抜きで「アジア圏」を形成することには強い懸念を表明してきた。米国が以前から提唱しているAPEC21ヵ国全体での自由貿易圏FTAAPは、その実現をめざすというよりも、ASEAN+3(日中韓)などのアジアにおける連携の試みを攪乱することが主たる目的と考えた方がわかりやすい。
 TPPの推進も、FTAAPの一里塚というよりも、ASEAN+3などのアジア圏形成を遅らせるのに好都合なのである。米国自身、「これは対中国包囲網だ。日本は中国が怖いのだから、入った方がいい」と説明している。中国も韓国もインドネシアもタイもNOといっているTPPに、もし日本が入れば、アジアは分断される。世界の成長センターであるアジアから米国が十二分に利益を得るためにも、米国が覇権を維持するにも、アジアは分断されているほうが好都合である。逆に言えば、日本が世界の成長センターとなるアジアと共に持続的発展を維持するには、ASEAN+3などの「アジア圏」の形成によって足場を固めることが極めて重要であり、それが、米国に対する拮抗力を維持しつつ、真に対等な立場で米国と友好関係を築くことにもつながる。
 TPPでは、TPPを警戒するアジア諸国とTPPに入るアジア諸国で、アジアは分断されるのだから、TPPはアジア太平洋全体のルールにはならない。ならないし、してはいけない。かりにも、TPPが拡大し、米国の利益の押しつけによってアジアのルールが決まるようなことは、アジアの利益にはならない。小規模分散錯圃の農業を含め、様々な分野で共通性のあるアジアが、その利益を将来に向けて確保できるルールはアジアが作るべきである。それをリードするのがアジアの先頭を走ってきた先進国としての日本の役割である。
 すでに、ASEANは、TPPに対抗して、ASEANが主導してアジア太平洋地域の自由貿易圏を創設する方向性を提示しており、日本がTPPに入ることが、アジア圏の形成にマイナスになるとして、懸念を表明した。
 

2. 中国も韓国もTPPに強い関心を示しており、やがて入ってくる
 これは間違いである。韓国は、韓米で、コメなどの最低限の例外を何とか確保して合意したばかりなのに、それらもすべて明け渡すようなTPPに入る意味は考えられない。
 中国は、高関税品目も多いし、国家による規制も多いので、従来のFTAでも、難しい分野はごっそりと例外にするという大胆な柔軟性を維持して、お互いにやれるところからやりましょう、という方針を採っている。したがって、徹底した関税撤廃と独自の国内ルールの廃止を求められるTPPに参加することは、限りなく不可能に近い。
 かつ、米国自身、「これは対中国包囲網だ。」と説明している。TPPが拡大して中国が孤立して入らざるを得なくなる、というようなシナリオが描かれているのかもしれないが、とても現実的とは思えない。


3. TPPに入らないと、韓国に先を越された日本の経済損失が取り戻せない
 これは間違いである。冷静に見れば、米国の普通自動車の関税はすでに2.5%でしかなく、現地生産も進んでいるのだから、韓国に先を越されると言っても日本の損失はわずかであろう。
 TPPによる日本にとっての経済利益が小さいことは、GTAPモデルの日本での権威である川崎研一氏の試算でも明らかである。FTAごとに日本のGDP増加率を比較すると、TPPで 0.54%、日中FTAで0.66%、日中韓FTA で0.74%、日中韓+ASEAN のFTAで1.04%となっている。つまり、日本が参加して10ヵ国でTPPを締結しても、日中2国間での自由化の利益にも及ばない。アジアにおけるFTAが日本経済の発展にいかに有効であるかということである。
 TPPによって得られる経済利益が尐ないことは、推進する方々もわかっているのだろう。だから、TPPの利益としては、具体的な分野になると、投資、金融、サービス等の規制緩和がベトナム等での日本企業の展開に有利になる、というくらいの指摘しか出てこない。しかし、これは、日本も米国から攻められるわけで、その分を途上国で取り戻すと言っても、「両刃の剣」であることは明らかである。最終的に、かなり抽象的に、先述のような、「TPPがアジア太平洋地域の貿易ルールになるから、参加しないと孤立する」というような理由が語られるのである。


4. TPP以外のFTAが具体化していないから、これしかない
 これは間違いである。実は、日中韓FTAの産官学共同研究会(事前交渉)は、2011年12月に報告書作成作業を完了し、2012年から政府間交渉に入る準備を進めている。いよいよ日中韓FTAが具体的に動き出す。TPPのような極端なゼロ関税ではなく、適切な関税と適切な国内対策の組合せによって、全加盟国が総合的に利益を得られるような妥協点を見いだせる。
 日本とEUとのFTAも、交渉の範囲を確定する予備交渉が開始されることになった。日本やアジアにとって、米国やオーストラリアといった新大陸に比べて相対的に共通性の高いEUとのFTAは真剣に検討する必要がある。EUは、適切な関税と適切な国内対策の組合せによって「強い農業」を追求する政策を実践しているので、TPPとは違い、農業についての着地点を見いだすことは可能であろう。
 このように、柔軟性を望めないのに利益は小さいTPPではなく、アジアやEUとの、柔軟性があり、かつ、日本の輸出を伸ばせる可能性も大きいFTAを促進する方向性が、日本にとって現実的で利益も大きいと思われる。ただしその場合は、米国との関係悪化を回避しつつ進めなくてはならないという非常に難しいバランスも要求される。そもそも、日本は、米国と中国という2つの大国の間で微妙なバランスを保ちつつ発展していく必要がある。米国との関係が非常に重要であることは間違いないが、TPPに傾斜しすぎるわけにはいかないのである。現実的には、TPPの動向は注視しつつ、日中韓FTAや日EU・FTAの準備を進めるという選択肢が考えられる。


5. 「TPPおばけ」で根拠のない不安を煽っている
 これは間違いである。TPPが今までのFTAと決定的に違うのは、関税撤廃などにおいて重要品目の例外扱いなどが原則的に認められない点である。また、非関税措置といわれる制度やルールの廃止や緩和、共通化も目指す。つまり、協定国の間に国境がない(シームレス)かのように、人やモノや企業活動が行き来できる経済圏を作ろうというのがTPPの目標である。
 しかも、たとえば米国企業が日本で活動するのに障害となるルールがあれば、米国企業が日本政府を訴えて賠償請求とルールを廃止させることができる条項も盛り込まれる。いわゆる「毒素条項」と呼ばれ、NAFTA(北米自由貿易協定)でも、韓米FTAでも入っている。経済政策や産業政策の自主的運営がかなりの程度制約される可能性も覚悟する必要がある。
 基本的に、米国など外国企業が日本で活動する場合に、競争条件が不利になると判断される公的介入や国内企業への優遇措置と見なされる仕組みは廃止が求められるということである。したがって、郵政民営化は当然であるし、医療における公的医療保険も許容されないということになる。
 ある面では、TPPは、EU(欧州連合)のような統合を、米豪と日本など、まったく異質な国が、数ヶ月で達成しようとしているようなものである。EUが形成されるのに費やされた60年という長い年月を考えれば、それと類似のレベルの経済統合を数ヶ月のうちに一気に達成しようというTPPの凄まじさがわかる。
 現在9カ国が参加して交渉中のTPPは、すでに2006年5月にチリ、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイの4ヶ国で締結されたP4協定がベースになることも忘れてはならない。日本では、TPPがどのような協定になる可能性があるのかについて、政府は「情報がない」と言って国民に何も説明していないが、このP4協定に近いものになるのだから、尐なくともP4協定についてなぜもう尐し国民に説明しないのかということが問われる。
 P4協定は160ページにも及ぶ英文の法律である。P4協定は、物品貿易の関税については、ほぼ全品目を対象として即時または段階的に撤廃することを規定している。また、注目されるのは、政府調達やサービス貿易における「内国民待遇」が明記されていることである。内国民待遇とは、自国民・企業と同一の条件が相手国の国民・企業にも保障されるように、規制緩和を徹底するということである。たとえば政府調達では、国レベルだけではなく地方レベルの金額の小さな公共事業の入札の公示も英文で作り、TPP加盟国から応募できるようにしなければならなくなるサービス貿易については、金融、保険、法律、医療、建築などの各分野で、看護師、弁護士、医者等の受け入れも含まれることになるだろう。金融についてはP4 協定では除外されていたが、米国が参加して以降、交渉分野として加えられている。
 もう一つ、参照すべきは、韓米FTAである。米国は、日本がTPPの内容を考える上で、アジアとの直近のFTAとして、韓米FTAを参照してほしいと指摘している。つまり、TPPは、P4協定、韓米FTAの内容を、さらに強化するものとなるということである。韓米FTAでは、投資・サービスの原則自由化(例外だけを規定する「ネガ」方式)、「毒素条項」に加え、エンジニア・建築家・獣医師の資格・免許の相互承認の検討、郵政・共済を含む金融・保険の競争条件の内外無差別化(公的介入、優遇措置の排除)、公共事業の入札公示金額の引き下げなども入っている(「付録」参照)。これらが、強化される形で、TPPで議論されることになる。
 遺伝子組み換え食品についても、米国が安全だと科学的に証明している遺伝子組み換え食品に対する表示義務を廃止するよう我が国が求められるであろうことは、現在9ヵ国のTPP交渉の中で、オーストラリアやニュージーランドが、すでに米国から同じ要求を受けていることからわかる。
 また、以前から米国は、米国牛肉はBSE(狂牛病)検査をしっかりやっていて安全だから輸入規制はやめるよう主張している。だが、米国人の監督による米国食料市場に関するドキュメンタリー映画『フード・インク』を見てもわかるように、狂牛病の検査は十分に行われていない可能性が高い。だからこそ、日本は独自のルールを設定して国民の命を守っているのである。だが、TPP参加とともに、それは駄目だという圧力が高まる。韓国は、韓米FTAの協定の中ではなく、韓米FTAをまとめるための「お土産」として、月齢規制を緩和した(なんと日本は、10月に早々と自ら緩和表明し、服従姿勢を示し始めた)。

 以上のように、根拠なしに不安を煽るような「TPPおばけ」ではなく、しっかりした根拠に基づいて、危険性を指摘しているのである。推進する方々の「アジア太平洋の貿易ルールに乗り遅れる論」「とにかく入って、いやなら脱退論」こそが、根拠のない「脅し」や意図的な詐欺である。


6. 例外は認められるから大丈夫、不調なら脱退すればよい
 最近のTPP推進議論でよく聞くのは、「とにかく入ってみて交渉すれば、例外も結構認められる。不調なら交渉途中で離脱すればよい」といった根拠のない「とにかく入ってしまえ論」である。しかし、「すべて何でもやります」という前提を宣言しないと、TPP交渉には入れない。カナダは、「乳製品の関税撤廃は無理だが、交渉に入りたい」と言って門前払いになっている(一応は「全ての品目を交渉の対象にする」と伝えたが、「乳製品の問題にカナダが真剣に取り組むという確信が持てない」という指摘が既参加国からあり、認められなかった可能性もある)。
 ただ、米国を含めた世界各国が、国内農業や食料市場を日本以上に大事に保護している。たとえば乳製品は、日本のコメに匹敵する、欧米諸国の最重要品目である。米国では、酪農は電気やガスと同じような公益事業とも言われ、絶対に海外に依存してはいけないとされている。でも、米国は戦略的だから、乳製品でさえ開放するようなふりをしてTPP交渉を始めておいて、今になって、米豪FTAで実質例外になっている砂糖と乳製品を、TPPでも米豪間で例外にしてくれと言っている。オーストラリアよりも低コストのニュージーランド生乳については、独占的販売組織(フォンティラ)を不当として、関税交渉の対象としないよう主張している。つまり、「自分より強い国からの輸入はシャットアウトして、自分より弱い国との間でゼロ関税にして輸出を増やす」という、米国には一番都合がいいことをやろうとしている。
 こうした米国のやり方にならって、「日本も早めに交渉に参加して例外を認めてもらえばいい」と言っている人がいるが、もしそれができるなら今までも苦労していなない。米国は、これまで自身のことを棚に上げて日本に要求し、それに対して日本はノーと言えた試しはない。特にTPPは、すべて何でもやると宣言してホールドアップ状態で参加しなくてはならないのだから、そう言って日本が入った途端にもう交渉の余地はないに等しい。この交渉力格差を考えておかなければならない。米国は、輸出倍増・雇用倍増を目的にTPPに臨んでいるから、日本から徹底的に利益を得ようとする。そのためには、たとえばコメを例外にすることを米国が認める可能性は小さい。交渉の途中離脱も、理論的に可能であっても、 実質的には、国際信義上も、力関係からも、不可能に近い。
 また、「例外が認められる」と主張する人の例外の意味が、「コメなら関税撤廃に10年の猶予があるから、その間に準備すればよい」という場合が多い。これは例外ではない。現場を知る人なら、日本の稲作が最大限の努力をしても、生産コストを10年でカリフォルニアのような1俵3,000円に近づけることが不可能なことは自明である。現場を知らない空論は意味がない。
 なお、日豪FTAはすでに政府間交渉をしており、多くの分野で例外措置を日本側も主張しているが、その日本がTPPでは、同じオーストラリアに対して例外なしの自由化を認める、というまったく整合しない内容の交渉を同時並行的に進めることが可能なのか、この矛盾に直面する。かりに、米国の主張にならって、既存のFTA合意における例外はTPPに持ち込めるから、日豪FTAなどを既存の2国間合意を急げばよい、という見解もあるが、それではTPPというのは一体どういう実体があるのかということになる。


7. 所得補償すれば関税撤廃しても大丈夫
 「所得補償すれば関税撤廃しても大丈夫」という議論があるが、これも間違っている。現状のコメに対する戸別所得補償制度は、1俵(60kg)当たり平均生産コスト(13,700円)を常に補償するものではなく、過去3年平均価格と当該年価格との差額を補てんする変動支払いと、1,700円の固定支払いによる補てんの仕組みであるから、米価下落が続けば補てんされない「隙間」の部分が出てくる。したがって、TPPでコメ関税を10年間で撤廃することになれば、さらなる米価下落によって「隙間」の部分がますます拡大していく。
 もし、平均生産コストを全額補償する「岩盤」をコメ農家に手当すると想定すればどうなるか。たとえば、コメ関税の完全撤廃後も現在の国内生産量(約900万トン)を維持することを目標として、1俵当たり14,000円のコメ生産コストと輸入米価格3,000円との差額を補てんする場合の財政負担額を試算してみると、
<コメ関税ゼロの場合> (14,000円-3,000円)÷60キロ× 900万トン=1.65兆円
となる。概算でも約1.7兆円にものぼる補てんを毎年コメだけに支払うのは、およそ現実的ではないだろう。牛乳・乳製品や畜産物などコメ以外の農産物に対する補てんも含めると、財政負担は尐なくともこの2倍近くになる可能性がある。さらには、1兆円近くに及ぶ関税収入の喪失分も別途手当てしなくてはならないことを勘案すれば、毎年4兆円という、ほとんど不可能に近い多額の財源確保が必要となる。
 これほど膨大な財政負担を国民が許容するならば、環境税の導入、消費税の税率の引上げなどによる試算から、具体的な財源確保の裏付けを明確にし、国民に約束しなければならない。もし空手形になれば国民に大きなリスクをもたらし、世界から冷笑される戦略なき国家となりかねない。「とりあえずTPPに参加表明し、例外品目が認められなければ所得補償すればよい」といった安易な対応は許されないのである。
 一方、もしTPPが関税撤廃の例外を認める形で妥結される可能性があるならば、それを踏まえた現実的な議論の余地も生まれる。たとえば、コメの例外扱いが認められて関税率が250%とされた場合は、補てんのための財政負担額は、
<コメ関税250%の場合> (14,000円-10,500円)÷60キロ× 900万トン=5,250億円
となる。
 ただし、以上の試算で用いた輸入米価格3,000円という仮定が低すぎるのではないかとの指摘もあるだろう。たとえば、平成22年の中国産SBS(売買同時入札方式)米の入札価格は玄米換算で8,550円に達しているので、輸入米価格を9,000円程度と見込めば、
<高い輸入米+関税ゼロの場合> (14,000円-9,000円)÷60キロ× 900万トン=7,500億円
となる。さらに、関税撤廃を10年で行う猶予がある場合、その間の構造改革によって補てん基準の生産コストを10,000円まで引き下げられると見込めば、<構造改革を見込んだ場合> (10,000円-9,000円)÷60キロ× 900万トン=1,500億円
と、許容範囲の財政負担におさまることも考えられる。こうした試算が、ゼロ関税でも対応可能だという根拠として出されてくるであろう。
 しかし、福岡県稲作協議会の黒竜江省調査(2010年7月30日~8月4日)によると、現地のコメ輸出会社が受け取っている日本向け輸出価格は1キロ当たり3.6~3.8元(約54~57円)、1俵当たりで約3,200~3,400円程度であり、SBSで9,000円程度となっている現在の価格は、輸入枠があるため中国側がレント(差益)をとる形で形成された高値と判断できる。したがって、輸入枠が撤廃されればレントを維持できなくなることを考えると、輸入価格を現状の9,000円のままと見込むのは危険である。また、農水省資料によれば、各国の米価は、米国 2,880 円、中国 2,100 円、オーストラリア 2,640 円(2008年の玄米換算1俵当たり生産者受取価格)となっている。TPPについては、中国産ではなく、米国産との比較が必要だが、米国産でも輸入米は3,000円程度を目安にした方がよいと思われる。
 それから、先述のとおり、「ゼロ関税になるまでに10年間の猶予があれば、それまでに規模拡大して生産コストを下げれば、補てんの負担は大幅に縮小される」という議論もあるが、机上の試算を勝手にされても困る。規模拡大やコストダウンの努力はもちろん必要だが、日本のこの土地条件で、10年間で米の生産コストを半分にできるかというと、非常に難しい。
 すると、次に出てくるのは、「補てん財源が足りなければ、補てんの対象を大規模農家などに絞ればいい」という主張である。これでは、日本全国に広がる中山間地の農村はどうなるのか。慎重な配慮が求められる。 

 また、以上の試算では、国内生産量を現状水準で維持することを前提としているが、もし「新基本計画」が掲げている食料自給率50%への引き上げ目標も同時に達成するならば、さらに膨大な財政負担が必要になる。関税撤廃が可能かどうか、あるいはどこまで引き下げることが可能かについては、必要な財政負担額とセットで検討する必要がある。そうした検討もなく、所得補償するからゼロ関税でも大丈夫と言うのも、コメ関税は一切手をつけられないと言うのも極論であり、現実的な解は、その中間のどこかに、適切な関税水準と差額補てんとを組合せることによって見いだすことができると思われる。しかし、そうした柔軟性はTPPには望めない。

8. 日本のコメは品質がよいし、米国やオーストラリアの短・中粒種のコメの生産力はそれほど高くないので、関税撤廃しても、日本のコメ生産が極端に減尐することはない。
 これは間違いである。カリフォルニア米が比較的おいしいというのは、米国滞在経験者なら、共通認識であり、値段とのバランスを考えれば、広く日本の消費者に受け入れられる可能性は高い。
確かに、短・中粒種のコメ生産力が世界にどれだけあるのかについては慎重に検討すべきであるが、たとえば、オーストラリアは今、水の問題でコメは5万トンくらいしか生産できていないが、過去には、日本でもおいしく食べられるコメを100万トン以上作っていた。中国では、黒竜江省だけでも日本の全生産量とほぼ同じ800万トンのコシヒカリを作っている。オーストラリアも米国もそうだが、どの国でも、日本でのビジネス・チャンスが広がれば、生産量を相当に増やす潜在力があるし、日本向けの食味に向けての努力も進むであろう。米国も短・中粒種はカリフォルニアしかつくれないわけでなく、日本で売れるビジネス・チャンスが広がれば、アーカンソーでも生産できる。そうなれば、生産力は格段に高まる。だから、供給余力の推定や品質向上の度合いの推定はなかなか難しい。ただ、普段は、ビジネス・チャンスに応じて経営は対応してくることを重視する人達が、こういう場合だけ、現状固定的に、日本の品質はよいし、外国の生産力は小さい、と主張するのは、やや首をかしげる。
 いずれにしても、時間の経過とともに変わってくるし、不確定な要素が非常に多いので、日本のコメ生産が9割減尐するとも言い切れないし、ほとんど減らないとも言えない。だからこそ、ゼロか百かの議論ではなく、極端なTPPではなく、アジアにおいて柔軟かつ互恵的な自由貿易協定を拡大する路線が現実的だということである。


9. 貿易自由化して競争すれば強い農業ができる
 これは間違いである。大震災で被災した東日本沿岸部に大規模区画の農地をつくって競争すればTPPもこわくない、という見解もあるが、それでも、せいぜい2ha程度の1区画である。それに対して、TPPでゼロ関税で戦わなければならないオーストラリアは、1区画100haある。農家一戸の適正規模は1万ヘクタールというから、そもそも、まともに競争できる相手ではない。土地条件の格差は、土地利用型農業の場合は絶対的で、努力すればどうにか勝てるという話ではない。車を工場で造るのと一緒にしてはならない。牛肉・オレンジなどの自由化も、牛肉や果物の大幅な自給率低下につながったことを思い起こす必要がある。
 だから、TPPのような徹底した関税撤廃は、強い農業を生み出すのではなく、日本において、強い農業として頑張っている人達を潰してしまうのである。コメで言えば、日本で1俵9,000円の生産コストを実現して大規模経営している最先端の経営も、1俵3,000円のコメがゼロ関税で入ってきたらひとたまりもないのは当然である。欧州の水準を超えたというほどに規模拡大した北海道酪農でも、平均コストは1kg70円くらいであり、1kg19円のオセアニアの乳価と競争できるわけがない。残念だが、これが、土地条件の差なのである。


[写真] 西オーストラリアの小麦農家-この1区画で100ha
 

10. 競争を排除し、努力せずに既得権益を守ろうとしいては、効率化は進まない
 誰も、努力せずに既得権益を守ろうとしているわけではない。TPPのように、極端な関税撤廃や制度の撤廃は、一握りの勝者と多数の敗者を生み、一握りの勝者の利益が非常に大きければ、大多数が苦しんでも、社会のトータルとしては効率化された、という論理の徹底であり、幸せな社会とは言えない。
 医療と農業は、直接的に人々の命に関わるという点で公益性が高い共通性がある。筆者は米国に2年ほど滞在していたので、医療問題は切実に感じている。コーネル大学にいたが、コーネル大学の教授陣との食事会のときに2言目に出てくるのは、「日本がうらやましい。日本の公的医療制度は、適正な医療が安く受けられる。米国もそうなりたい」ということだった。ところが、TPPに参加すれば、逆に日本が米国のようになる。日本も米国のように、高額の治療費を払える人しか良い医療が受けられなくなるような世界になる。地域医療も今以上に崩壊していくことは明らかである。混合診療が全面解禁されれば、歯では公的保険適用外のインプラント治療ばかりが進められ、低所得層は歯の治療も受けられない、という事例(九州大学磯田宏准教授)はわかりやすい。
 TPPの議論を契機に、また市場至上主義的な主張が強まっている。確かに、既得権益を守るだけのルールは緩和すべきだが、だからルールは何もない方がいいというのは、人類の歴史を無視した極論である。経済政策学者が政策はいらないと言うのは、ほとんど自己否定していることになる。All or Nothing(ゼロか100か)ではなく、その中間の最適なバランスを見つけるべきである。
 

11. 3,000円のカリフォルニア米で牛丼が100円安くなるのならTPPに参加した方がいい
 消費者の立場から見ると、「3,000円のカリフォルニア米で牛丼が100円安くなるのならTPPに参加した方がいい」という意見も当然ある。こうした消費者の目線で問題を見直してみることが重要である。言い換えると、農業サイドの貿易自由化への反対表明は、農家利益、あるいは農業団体の利益に基づいたエゴと見られがちなことを忘れてはならない。
 今こそ、生産者と消費者を含めた国民全体にとっての食料の位置づけというものを再確認することが必要だと痛感する。食料は人々の命に直結する必需財である。「食料の確保は、軍事、エネルギーと並ぶ国家存立の三本柱」で、食料は戦略物資だというのが世界では当たり前だから、食料政策、農業政策のことを話せば、「国民一人ひとりが自分の食料をどうやって確保していくのか、そのために生産農家の方々とどうやって向き合っていくのか」という議論になるのが通常である。ところが、日本では、「農業保護が多すぎるのではないか」といった問題にいきなりすり替えられてしまう。これは、意図的にそういう誘導をしようとしている人がいるということもある。しかし、日本では、食料は国家存立の要だということが当たり前ではないというのは事実である。国民に、食料の位置づけ、食料生産の位置づけについて、もう一度きちんと考えてもらう必要がある。
 まず、2008年の世界食料危機は、干ばつによる不作の影響よりも、むしろ人災だったということを忘れてはならない。特に米国の食料戦略の影響であったということを把握しておく必要がある。
 米国が自由貿易を推進し、関税を下げさせてきたことによって、穀物を輸入に頼る国が増えてきた。一方、米国には、トウモロコシなどの穀物農家の手取りを確保しつつ世界に安く輸出するための手厚い差額補てん制度があるが、その財政負担が苦しくなってきたので、何か穀物価格高騰につなげられるキッカケはないかと材料を探していた。そうした中、国際的なテロ事件や原油高騰を受けて、原油の中東依存軽減とエネルギー自給率向上が必要だというのを大義名分としてバイオ燃料推進政策を開始し、見事に穀物価格のつり上げにつなげた。
 トウモロコシの価格の高騰で、日本の畜産も非常に大変だったが、メキシコなどは主食がトウモロコシだから、暴動なども起こる非常事態となった。メキシコでは、NAFTA(北米自由貿易協定)によってトウモロコシ関税を撤廃したので国内生産が激減してしまったが、米国から買えばいいと思っていたところ、価格暴騰で買えなくなってしまった。
 また、ハイチでは、IMF(国際通貨基金)の融資条件として、1995年に、米国からコメ関税の3%までの引き下げを約束させられ、コメ生産が大幅に減尐し、コメ輸入に頼る構造になっていたところに、2008年のコメ輸出規制で、死者まで出ることになった。TPPに日本が参加すれば、これは他人事ではなくなる。米国の勝手な都合で世界の人々の命が振り回されたと言っても過言ではないかもしれない。
 米国の食料戦略の一番の標的は、日本だとも言われてきた。ウィスコンシン大学のある教授は、農家の子弟への講義の中で、「食料は武器だ。日本が標的である。直接食べる食料だけでなく、畜産物のエサが重要だ。日本で畜産が行われているように見えても、エサ穀物をすべて米国から供給すれば、日本を完全にコントロールできる。これを世界に広げていくのが米国の戦略だ。そのために皆さんには頑張ってほしい」といった趣旨の話をしたという。実はそのとき教授は日本からの留学生がいたのを忘れてしゃべっていたとのことで、「東の海の上に浮かんだ小さな国はよく動く。でも勝手に動かれては不都合だから、その行き先をエサで引っ張れ」と言ったと紹介されている(大江正章『農業という仕事』岩波ジュニア新書、2001)。これが米国の食料戦略であり、日本の位置づけである。
 ブッシュ前大統領も、農業関係者への演説では日本を皮肉るような話をよくしていた。「食料自給はナショナルセキュリテイの問題だ。皆さんのおかげでそれが常に保たれている米国はなんとありがたいことか。それにひきかえ、(どこの国のことかわかると思うけれども)食料自給できない国を想像できるか。それは国際的圧力と危険にさらされている国だ。(そのようにしたのも我々だが、もっともっと徹底しよう。)」という感じである。
 

12. 過保護な日本農業はTPPでショック療法が必要だ
 日本の農業が過保護だから弱いというのは誤った理解である。日本人は、ルールを金科玉条のように守るというその気質から、WTOルールを世界で一番真面目に受け止めて保護削減に懸命に取り組んできた。その結果、一般に言われているような過保護な農業は、日本にはもう当てはまらなくなっていて、逆に諸外国の農業の方がよほど過保護になっている。もう一度確認しておくと、農業所得に占める財政負担の割合は、日本の場合は平均で15.6%しかない。一方の米国の稲作経営は、巨大な経営規模で、輸出もしていながら、その所得の60%が財政負担である。それから、フランス、イギリス、スイスなど多くのヨーロッパの国々では農業所得の90%以上が財政負担で支払われている。こうした手厚い農業保護の背景には、食料生産や農業は国民の命を守り、国土を守り、国境を防衛してくれる、まさに公益事業だという国家の覚悟があるように思われる。
 農業経営収支は赤字で、それを補助金がカバーして所得を生み出すという構造は、驚くべきことに、EUで最も大規模なイギリスの穀物経営(平均規模は200ha近い)でも同様である。経営収支は△1.5万ポンド(1ポンドは現在120円強)だが、単一支払い4.2万ポンド、環境支払いなど8千ポンドを加えることで黒字になっている。いわば所得の100%が補助金である。もちろん、条件不利地域農業でも同様で、平均的には、経営収支は、△5千ポンドの赤字だが、補助金が単一支払い1.8万ポンド、環境支払いと条件不利地域支払いで8千ポンド加わることで黒字に維持されている。
 また、WTOに登録されている農業保護の総額は、日本は6千4百億円で、米国は1兆8千億円、EUは4兆円で、やはり総額でみても、日本の方がずっと尐ない。しかも米国は過尐申告をしていて、本当は3兆円以上ある。
 それともう一点、「日本の農産物は高い。その大きな内外価格差こそ、価格支持による保護の証拠だ」という誤った主張が、TPP推進のためにもよく使われる。こういうことが言われるのは、内外価格差によって農業保護度を測るPSE(生産者支持推定量)という誤った指標が国際的に使われているためである。我々のような研究者も、こういう誤った指標をきちんと訂正できていなかったことは申し訳ない。
 ある水準まで価格が下がると政府が無制限な買い取りを行い、補助金を付けて援助や輸出に回して国内価格を高く維持する仕組みは、米国、カナダ、EUなど、世界の多くの国々で維持され、こうした価格支持政策をうまく活用している。一方の日本は、世界に先駆けて、コメや酪農の価格支持政策を廃止した。コメの政府価格はまだ存在するが、数量が備蓄用に限定されているので米価の下支え機能はほとんどない。つまり、実質的にコメにも価格支持政策はない。
 しかし、PSEの計算では、日本には5兆円もの農業保護があり、その95%が価格支持だということになっていて、今の日本の実態とはまったく合っていない。なぜこういう間違いが起きているのかというと、PSEという指標が内外価格差をすべて農業保護とする指標だからである。内外価格差の原因をどう考えるかが重要なポイントである。ややもすると日本の農産物は輸入品よりも高いと思いがちだが、実は必ずしもそうではなくて、品質が良かったり、サービスや安全性が優れているなどのために高い値段が付けられている部分もある。日本の生産者が消費者のみなさんにいい物を食べていただきたいとがんばった努力の結果の「国産プレミアム」が含まれている。たとえば、見かけはまったく同じで、国産のネギが中国産よりも尐々高く売られていたとしても、国産の方を買う人は結構多い。それが「国産プレミアム」である。
 しかし、PSEは品質の差をほとんど考慮していない。輸入牛肉を運んでくる輸送費と、港でかかる関税を足してもまだ内外価格差があれば、これは非関税障壁であり、価格支持が原因だという計算になっている。本当なら、日本の霜降り牛肉と、オーストラリアで草で育った肉とが値段が同じだったらおかしい。日本の霜降り牛肉の方が高く売られているのは、日本人なら誰もが納得するはずだが、PSEではこれが非関税障壁や価格支持としてカウントされてしまう。こういう数値に基づくと、世界的にも価格支持制度を最もなくした日本が、「世界で一番価格支持に依存した遅れた農業保護国なので、ショック療法でTPPが必要だ」というような奇妙な議論になってしまう。


13. 強い農林水産業のための対案がないではないか
 農林水産業関係者を中心にTPP反対の運動が進みつつあるのに対して、「日本の農林水産業はTPPを拒否するだけでやっていけるのか。TPPがなくても、日本の農林水産業は、高齢化、就業人口の減尐、耕作放棄などで疲弊しつつある。どういう取組みをすれば農林水産業は元気になるのか。TPPがだめだというなら対案を出してほしい」という指摘がある。
 筆者が現場をまわっていて一番心配しているのは、「これから息子が継いでくれて規模拡大しようとしていたのだが、もうやめた」と肩を落とす農家が増えていることである。TPPは農林水産業の将来展望を暗くしている。まず、こういう後向きの思考に歯止めをかけねばならない。そうではなくて、TPPの議論を契機に、農林漁家がもっと元気になるための取組み、現場で本当に効果が実感できる政策とは何かということを、いろいろな方が関心をもってきてくれている今、地域全体で前向きに議論をする機会にしなくてはならない。
 水田の4割も抑制するために農業予算を投入するのではなく、国内生産基盤をフルに活かして、「いいものを尐しでも安く」売ることで販路を拡大する戦略へと重心をかえていく必要性は認める。そのためには、米粉、飼料米などに主食米と同等以上の所得を補てんし、販路拡大とともに備蓄機能も活用しながら、将来的には主食の割り当ても必要なくなるように、全国的な適地適作へと誘導すべきである。
 さらに、将来的には日本のコメで世界に貢献することも視野に入れて、日本からの輸出や食料援助を増やす戦略も重要である。備蓄運用も含めて、そのために必要な予算は、日本と世界の安全保障につながる防衛予算でもあり、海外援助予算でもあるから、狭い農水予算の枠を超えた国家戦略予算をつけられるように、予算査定システムの抜本的改革が求められる。米国の食料戦略を支える仕組みは、この考え方に基づいている。
 地域の中心的な「担い手」への重点的な支援強化も必要である。今後農業をリタイアされる方がいる一方で、就農意欲のある若者や他産業からの参入も増加傾向にある。だが、新規参入される方の経営安定までには時間がかかり、長らく赤字を抱える方が多いのが実態なので、フランスのように、新規参入者に対して十年間くらいの長期的な支援プログラムを準備するなど、集中的な経営安定対策を仕組むことが必要である。
 また、集落営農などで、他産業並みの給与水準が実現できないためにオペレーターの定着に苦労しているケースが多いので、状況に応じてオペレーター給与が確保できるシステムづくりと集中的な財政支援を行うことも効果的であろう。20~30ha規模の集落営農型の経営で、十分な所得を得られる専従者と、農地の出し手であり軽作業を分担する担い手でもある多数の構成員とが、しっかり役割分担しつつ成功しているような持続可能な経営モデルを確立することが関係者に求められている。その一方、農業が存在することによって生み出される多面的機能の価値に対する農家全体への支払いは、社会政策として強化する必要がある。これは、担い手などを重点的に支援する産業政策としっかり区別して、メリハリを強める必要がある。
 被災地の復旧・復興ということを考えるときにも基本になるのは、「コミュニティの再生」である。「大規模化して、企業がやれば、強い農業になる」という議論は単純すぎて、そこに人々が住んでいて、暮らしがあり、生業があり、コミュニティがあるという視点が欠落している。そもそも、個別経営も集落営農型のシステムも、自己の目先の利益だけを考えているものは成功していない。成功している方は、地域全体の将来とそこに暮らすみんなの発展を考えて経営している。だからこそ、信頼が生まれて農地が集まり、地域の人々が役割分担して、水管理や畦の草刈りなども可能になる。そうして、経営も地域全体も共に元気に維持される。20~30ha規模の経営というのは、そういう地域での支え合いで成り立つのであり、ガラガラポンして1社の企業経営がやればよいという考え方とは決定的に違う。それではうまく行かないし、地域コミュニティは成立しない。これを混同してはいけない。
 こうした政策と、TPPのような極端な関税撤廃とは相容れない。TPPはこれまでの農家の努力を水の泡にする。自由化は、もっと柔軟な形で、適切な関税引き下げ水準と国内差額補てんとの組合せとを模索しながら行う必要がある。つまり、「農業対策を準備すればTPPに参加できる」というのは間違いである。「TPPでは対策の準備のしようがない」のであり、TPPでは「強い農業」は成立できない。
 たいへん多くのものを失った中で、何とか歯を食いしばって、その地で自分たちの生活と経営を立て直そうと必死に奮闘している東日本の農漁家の皆さんにとっても、その復旧・復興の気力を奪ってしまいかねない「追い打ち」になりかねない。
 

14. ぎりぎりまで情報を隠し、議論を避け、「不意打ち」的に参加表明すればよい
 大震災によって、6月までの参加表明の決断は先送りされたけれど、情報開示も、国民的議論もしないまま、11月のAPECのハワイ会合に間に合うように滑り込むというような、要するに国民に対する「不意打ち」が起こりかねないと懸念されたが、案の定、10月になって、その事態は表面化した。
 しかし、ここまで、徹底して、情報は出さずに、国民的議論は回避して、強行突破しようとするとは予想以上であった。ぎりぎりまで情報を隠し、議論を避け、「不意打ち」的に参加表明しようとする、この政治姿勢は、もはや民主主義国家の体を成していない。
 全国各地を訪れると、非常に多くの県議会や市町村議会がTPP反対または慎重の決議をし、各道県の地元の新聞は、ほぼすべてが反対または慎重の社論を展開していることが確認できる。日本の国土面積の9割はTPPに反対また慎重であるとの感触である。にもかかわらず、そうした全国各地の民意に反して、拙速な参加表明がなされることは許容しがたい。政治家には民意を代表する政治を実現してもらう必要がある。民意を代表しない政治家には退場いただくことになろう。米国からの要請だから仕方ないというのが誰の目にも明らかでは、結局、日本は、自主性のない従属国家として、米国からも中国からも、世界全体からも冷笑されることになろう。
 

参考文献
鈴木宣弘・木下順子『震災復興とTPPを語る-再生のための対案』筑波書房、2011年
鈴木宣弘・木下順子『TPPと日本の国益』大成出版、2011年
 


「付録」 米韓FTA協定の特徴的な規定
  第1章(序章
省略
 第2章 内国民待遇と物品の市場アクセス
○ 関税撤廃を、スケジュールに従い、即時又は段階的に行う(概要は別紙)(2条3.2)。
○ WTO協定上の内外無差別の義務を再確認し(2条2)、輸出入に関する規制の禁止を約束(2条8)しているが、以下は例外扱い。
・ 両国共通:WTOの紛争解決機関などで認められる行為(2条付属書A、B(c))。
・ 米国:丸太の輸出規制(米国17州の国公有林からの丸太の輸出を禁止)、
海運に関するジョーンズ・アクト関連規則(米国国内の海運交通を、米国内で建造され、米国民が所有し、乗り組む船舶のみに許容)(2条附属書A 、B(a))。
○ 輸出税の禁止を規定(2条11)。
○ 自動車に係る国内税(特別消費税、自動車税)等につき、小型車(排気量小)に対する大型車(排気量大)の負担比率を軽減する方向で改正し、今後、排気量別の負担格差を拡大する税制の導入、改正を行わない旨を約束(2条12)。
○ 米国の「バーボン・ウィスキー」、「テネシー・ウィスキー」、韓国の「安東焼酎」、「慶州法酒」について、それぞれの国内法、国内規制に従い製造されたもの以外は相手国での販売を禁止(2条13)。
 

 第3章 農業
○ 関税撤廃までの期間の経過的措置として、以下を規定。
① 農産物に適用できる関税割当制度(関税が撤廃されるまで、割当数量を年々漸増)(3条2)、
② 農産物に適用できる特別セーフガード(輸入量が増大した場合に自動発動。関 税が撤廃されるまで、発動基準数量を年々漸増。関税水準は年々漸減)(3条3)。
 

 第4章 繊維及びアパレル
○ 関税撤廃までの期間、繊維・アパレルに適用できる措置として、以下を規定。
① セーフガード(輸入量の増大とそれによる損害を要件とする数量セーフガード。補償措置も併せ求められる)(4条1)。

② 特別な原産地規則(絹、羊毛、綿など一部の製品で完全生産品基準を適用。)(4条2)。
③ 韓国からの輸出に関する協力:ア)韓国は、米国向け繊維を輸出に係る製造業者の連絡先、雇用者数、操業時間等の情報を定期的に米国に提供、イ)米国が迂回輸出の疑念を持った場合は、製造業者に対する抜打ち調査等を実施、ウ)調査が実施できない等の場合には米国は特恵扱いを停止。(4条3)
 

 第5章 医薬品・医療機器
○ 米韓両国間の健康保険制度の違いを認識し、医薬品、医療機器の開発を促進し、国民へのアクセスを確保することの必要性を確認した上で(5条1)、以下を約束。
① 医薬品、医療機器の承認、価格、診療報酬の決定に当たり、合理的な無差別の基準に従い、市場競争価格に基づくこと(5条2)。
② 医薬品、医療機器の承認申請については、(ア)合理的な期間内に決定、(イ)明確な基準に基づき判断、(ウ)政府の個別の判断について申請者に十分な情報を与え、(エ)個別の判断について、独立したレビュー手続を設けること(5条3.5)。
○ サイドレター(協定の不可分の一部)では、以下を追加的に約束。
・ 医薬品、医療機器の価格、診療報酬に係る政府の決定について、申請者の要請に基づき、レビューする機関を設置すること。
・ この機関は各締約国の健康保険制度の当局から独立した機関とすること。
・ 申請者に対して、このレビューを求める権利を申請者が有する旨周知すること。
 

 第6章 原産地規則
○ 他の多くのEPA協定と同様に、①締結国での加工工程により関税番号が変更する、 一定の付加価値が加わるなどの場合に、その締結国の原産と認める旨(6条1)、②原産品であることの証明の方法を規定(6条18)。
○ 米韓FTAでは、特に、①乳製品、米粉、果実の調製品を除き、輸入原材料を使用した農林水産品を締約国の原産品とすることを認め(6条付属書A PartⅡ)、②原産品の自己証明も認めている(6条15.3)。
 

 第7章 税関手続及び貿易促進
○ 他の多くのEPAと同様に、各国の税関手続の予見可能性、透明性、効率性を促進するための原則、具体的方法を定めるもの、税関協力(税関間の情報提供)(7条6)、事前教示(関税分類等に関する事前の情報提供)(7条10)の手続を規定。
 

 第8章 SPS(衛生植物検疫措置に関する規定)
○ 他の多くのEPA協定と同様に、SPS案件について協議を行う委員会の設置(年1回以上の会合実施)(8条3)を規定。
 

 第9章 TBT(貿易の技術的障害に関する規定)
他の多くのEPA協定と同様に、TBT案件について協議を行う委員会の設置(年1回以上の会合実施)(9条8)を規定。
○ 米韓FTAでは、特に、
① 規格・基準の策定に相手国の国民の参加を認め(9条6.1)、提案された規格・基準の内容に加え、その政策目的、他の代替手法の検討経緯などにつき相手国に情報提供する(9条3.7)。

② 自動車に関する規格・基準が不必要に貿易阻害的とならないことを義務付け (9条7)、自動車作業部会を設置し、規格・基準の効果に関する事後レビューを実施(附属書9-B)。
○ 2007年のサイドレター(協定の不可分の一部)では、以下を約束。
・ 米国産自動車について、韓国の環境基準(超低排出車両基準)の適用を緩和。
・ 米国車に課せられる排出ガス診断装置の装着義務について移行期間を設定。
・ 安全基準の認証について、基準適合義務を一部免除。
○ 2010年12月のサイドレターで以下を追加的に約束。
・ 基準適合義務の一部免除が適用される自動車の上限台数を引き上げるとともに、米国の基準を満たせば韓国の安全基準を満たしたものと認定。
・ 燃費・CO2基準について、韓国基準を緩和した基準を採用
 

 第10章 貿易救済措置
○ 本FTAに基づくセーフガード措置(輸入量の増大とそれに応じた損害の発生を要件とした数量セーフガード。関税撤廃までの経過的措置。)を規定。(10条1~10条6)
○ 反ダンピング関税、相殺関税について、調査の実施、両国間の協議、これらの関税の回避措置を規定。(10条7)
ただし、これらの規定については、本FTAでの紛争解決手続の適用がない。(10条7.2)
 

 第11章 投資
○ 他の多くのFTAと同様に、投資規則について、内外無差別(11条3)、最恵国待遇(11条4)、パフォーマンス要求の禁止(11条8)、役員の国籍制限の禁止(11条9)等を規定。これらの約束の適用除外を別紙で規定(ネガ方式)。
○ 投資家が国内法廷での議論を経ることなく、国際仲裁裁判で相手国政府を訴える(投資家対国家)紛争処理メカニズムを規定(11条15~11条27)。
 

 第12章 サービス貿易
○ 他の多くのFTAと同様に、内外無差別(12条2)、最恵国待遇の原則(12条3)を規定するほか、参入業者数や総雇用者数等の数量制限の禁止(12条4)を規定。これらの約束の適用除外を別紙で規定(ネガ方式)。
○ 特に、以下の分野で追加的な規律を置いている。
① 職業サービス:
(ア) 各締約国は、エンジニア、建築家、獣医師について(12条附属書A.1)、資格、免許の相互に受け入れ可能な規格・基準を策定すべく関連機関を促し、本FTAの下の合同委員会に勧告する(12条附属書A.2)。
(イ) 作業部会を設置し、同部会の下で相互認証に関する手続を検討し、合同委員会に報告する(12条附属書A.6)。
② エクスプレス宅配サービス:
(ア) 各締約国は、エクスプレス宅配サービスの独占を乱用しないこと、独占による収益を他の業務の経費に充てないことを約束(12条附属書B.3)。
(イ) サイドレター(協定の不可分の一部)で以下を約束。
・国内法を改正し、韓国ポストの独占の例外を拡大すること
・米国の国内、国際のエクスプレス宅配サービスは、USポスタル・サービスの独占の下に置かない。
・韓国の民間エクスプレス宅配サービスが扱う内容を重量、値段、他国の経験なども考慮して、客観的に設定

○ 「人の移動」に関する規定は米韓FTAには置かれていない。ただし、FTA交渉に前後して、以下を米韓二国間で合意。
① 企業内派遣(L1)ビザの期間延長:支社設立時の新規派遣(1年→3年)、既存 支社の常駐社員(3年→5年)。2010年12月の韓米FTAの再交渉を妥結した際に発表。
② ビザ免除プログラムの新規適用:90日間以内のビジネス、観光目的の滞在にビザ取得を免除するプログラム(日本を含む27か国には既に適用)を新たに韓国に適用。2008年10月に発表。
 

 第13章 金融サービス
○ 他のFTAと同様に、外国企業と国内企業との無差別待遇(13条2)、最恵国待遇(13条3)、市場アクセス制限(外国企業による会社設立、他社の買収に係る制限)の禁止(13条4)などを一般的に規定。
○ 米韓FTAでは、特に、以下を追加的に約束。
① 国境間取引
国内で会社を設立していない外国企業や国内企業と同様の事業許可を受けていない外国企業に対しても、自国民に対するサービス提供(国境間取引)を認める。(13条5.2)
② 外国企業の本国でのデータ処理
自国での活動で入手した顧客情報を外国企業が本国へ持ち出してデータ処理することを認める。(13条5.1、13条附属書A、B)ただし、韓国は協定発効の2年後から適用。
③ 外国企業の本国での取引
金融取引に必要な業務を自国内の企業を用いて実施することを求めず、外国企業本国で行うことを認める。(13条附属書B)
④ 新サービスの許可
自国企業に新たな金融サービスを認めた場合、相手国企業がその新サービスを自国民向けに提供することを無条件で認める。(13条6)
⑤ 共済事業
協同組合が実施する共済事業を、同種の民間保険より優遇しない。協定発効の3年後から、農協、漁協、信協共済、セマウル金庫の共済事業を、韓国政府の金融監督委員会(FSC)の規制、監視の下に置く。(13条附属書B、F節)
⑥ 韓国ポストの保険
韓国ポストが実施する保険業務を、同種の民間保険より優遇せず、同一のルールを適用する、可能な限り、韓国ポストの保険サービスをFSCの規制、監視下に置く。(13条附属書D)
○ サイドレター(協定の不可分の一部)では、韓国ポストにつき以下を約束。
・ 新商品の販売は行わない(SL-5)
・ 既存商品の変更は認められるが、その場合FSCのレビュー、勧告に従う(SL-5)
・ 保険商品の販売限度額を引き上げる場合、事前にFSCと協議する(SL-5)
 

 第14章 電気通信
○ 電気通信分野でのサービス自由化について、以下を規定。
・ 公衆通信事業者は、
(ア)事業者の通信網間の相互接続(interconnection)、(14条3.1)
(イ)事業者間桁数の同一番号の持越し(number portability)、(14条3.2)
(ウ)いずれの業者からの接続も同じ桁番号とする(dialing parity)(14条3.3)
を非差別的に提供することを規定。
ただし、附属書において、韓国は国際電気通信事業者には(ウ)の義務を免除し、米国は地域交換業者に対して、(イ)、(ウ)の義務を免除している。(14条附属書A)

・ 接続料、回線使用料などで、韓国政府が、施設非所有業者に比べた施設所有業者に対する優遇を容認する旨を規定。ただし、施設非所有業者に対して接続事業等に関する紛争解決手続を提示。(14条附属書B)
・ 周波数の割当についての透明で非差別的に配分することを義務づけた上で、効率的で競争促進的な方法、例えばオークションや無免許利用などにより割り当てるべき旨規定。(14条17)
 

 第15章 電子商取引
○ 電子的に送信される商品・サービスと実際の取引で提供されるものとの無差別を確保。(15条2)
○ ソフトウェア及びデジタル・プロダクツへの関税不賦課(無税)の確保。(15条3)
○ 電子認証、電子署名に係る法的有効性、法的要件、適合性を確保。(15条4)
 

 第16章 競争政策
○ 他の多くのFTAと同様に、各締結国における競争法の執行の義務付け、競争政策の透明性の確保を規定(16条1)。
○ 米韓FTAでは、特に、指定された独占企業が商業ベースで無差別原則で活動すること(16条2)、国家企業が競争法の原則に従うこと(16条3)、消費者保護対策での相手国との協力を確保すること(16条6)などを規定。


 第17章 政府調達
○ 中央政府、地方政府、その他関係機関のうち、中央政府のみを対象に規定。(17条附属書A)
○ 適用基準をWTO基準の13万SDR(米国:19万3千ドル、韓国:2億1千万ウォン)から、米国10万ドル、韓国1億ウォンまで引下げ。(17条附属書A)
 

  第18章 知的財産
○ 他のFTAと同様に、TRIPS等の国際規約の再確認、手続の簡素化、透明性の確保などを、一般的に規定。
○ 米韓FTAでは、特に、医薬品に関連する特許、映画、ソフトウェア関連の著作権等に関して、以下を追加的に規定。
(特許)
① 特許との関係(patent linkage)
医薬品の後発開発者が市販に向けた許可を当局から得る場合、その製品に係る特許権者に通知する等、特許権の侵害を防止するために必要な措置を当局が実施する。(18条9.5)
② 特許期限の延長
医薬品の市販に向けた許可の審査に不当に長期間を要した場合には、その分だけ、特許期間を延長する。(18条8.6(b))
③ データ独占(data exclusivity)
医薬品、農業用化学品の市販に向けた許可を得る際に先発開発者が特許に当たって用いた安全性、効率性関連資料の使用につき、医薬品は5年間、農業用化学品は10年間の使用を認めないなどの制限を課す。(18条9.1,2)
(著作権)
① 著作権保護期間の長期化
著作権の保護期間をTRIPs協定に規定されている50年から70年に延長する。(18条4.4)
このほか、サイドレター(協定の不可分の一部)で、以下の考えを確認。
② 二次的賠償責任(a secondary liability mandate)の明確化

著作権侵害について、著作物を転載した侵害者本人だけでなく、その転載物をインターネットに掲載した業者にも制裁を加える。
(商標)
○ 音声、匂い等の商標としての保護対象化
音声、匂い(例:インテルの効果音、プリンタートナーのレモンの香り)等を商標法の対象とする。(18条2.1)
(地理的表示)
○ 地理的表示(GI)の確保
EU、スイスが主張している厳格なGI保護ではなく、商標制度やその認証制度を活用して地理的な表示を保護する旨規定。(18条2)
 

 第19章 労働
○ ILOの加盟国としての義務を確認する一般的な規定に加え、以下を規定。
① ILO憲章の下での労働者の権利(結社の自由、団体交渉権の認定、あらゆる形態の強制労働の禁止等)を保護するための規制、措置の実施を約束。(19条1)
② 労働問題理事会を設立し、本条の下での義務違反につき、専門家等との協議などにより当理事会で問題解決を図る。(19条5)
 

第20章 環境
○ 貿易・投資の促進のため、環境規則を緩和しない旨、確認する一般的な規定に加え、以下を規定。
① 次の国際環境条約の下での義務の履行。そのために必要な国内規則の実施を約束。
・ 絶滅危惧種の保護に係るワシントン条約。(20条付属書A1-a)
・ オゾン層の保護に関するモントリオール条約。(20条付属書A1-b)
・ 湿地保護に関するラムサール条約。(20条付属書A1-d)
(気候変動に関する京都議定書、生物多様性条約など米国が締約国ではないものは除外されている。)
② 両国間に環境問題理事会を設置し、国際環境条約の義務違反について、当理事会での解決(各環境条約の下での規制当局・専門家との協議、各国内措置について、各条約に係る当局に条約解釈を求める等)。(20条9)


第21章 透明性
他の多くのFTAと同様に、法律、規則の公表、提案段階でのコメント機会の提供を規定。(21条1)
○ 米韓FTAでは、更に以下を規定。
① 影響を受ける関係者に対して、法律、規則等の評価や修正のため手続を規定。(21条3及び4)
② 政府関係者の汚職の禁止の明確化(21条5)


第22章 組織的事項と紛争解決
○ 他の多くのFTAと同様に、①両国の窓口設置(22条1)、合同委員会の設置(22条2)、②両国間の紛争を解決するためのメカニズム(協議、パネル設置、パネル裁定の実施、対抗措置、金銭的賠償等)を規定。(22条3~15)
○ 米韓FTAでは、特に、自動車に関する紛争解決メカニズム(パネル手続の迅速化、パネル裁定に基づく提訴国の自動車関税の引上げ)を別途規定。(22条附属書A)


リンク:
TPP参加に向けての国民無視の暴走を止める(東京大学 鈴木宣)
日本がTPPに加入する意味
TPPの詳しい解説(サルでもわかるTPP)
TPPは江戸末期の日米修好通商条約に似ている
グローバル化、国際通貨基金が貧困を作るとき
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《画像》 遺伝子組み換えトウモロコシを与え続けられたネズミがヤバすぎる!と話題 《TPP》(日々雑感)
「農業関連大手モンサント社の恐怖の収穫」(1)">「農業関連大手モンサント社の恐怖の収穫」(1)
そりゃおかしいぜモンサント:例えば、こんな恐怖がTPPで解禁される
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遺伝子組み換え大豆に狂豆病と名付けられた、狂牛病と同様に治癒不可能な病気が広がっている
「STOP TPP!! モンサントにNO!」 動いている市民活動
市民メディアNaturalSocietyがモンサント社を2011年のワースト1企業と烙印
田中康夫議員は、11月11日の衆院予算委で次 のように野田首相を追及した「…米国のモンサント社と昨年、長期協力関係を結んだ住友化学で会長を務める日本経団連の米倉弘昌さんと貴方(野田首相)が手 を握り合って進めようとするTPPに、多くの国民は疑問や不安をいだいていると思います」
なぜTPPを推進するのか 経団連米倉会長 ボロ儲けのカラクリ
マレーシア、TPPを拒否  ~医薬品の特許延長~(2012/08/13)
【動画】TPP反対抗議デモ(2012年9月18日 官邸前)
米国の経済学者・ジャーナリスト ラジ・パテル氏『新自由主義を見直せ』|日本農業新聞6月4日
橋下「維新の会」フィーバーの正体--新自由主義改革の二番煎じ--米国と財界の代理人が担ぐ--2012年2月27日
「TPP米国知的財産条文案(2011年2月10日版)を抄訳してみた」

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