陸山会事件の初公判後(6日夕)、小沢一郎・元民主党代表が開いた記者会見をめぐる報道は、各紙・各局とも批判一色だった。それをとやかく言うつもりはない。批判は自由だからだ。だが、事実をねじ曲げて自らを正当化するのは、戦中の大本営発表と同じではないだろうか。
記者会見の現場に臨んでいない読者(国民)が、騙される記述がある。それは「テレビ局記者が4億円の融資署名を聞いたことに小沢氏が答えなかった」とするくだりだ。
朝・毎・読は翌7日の朝刊で次のように報道している――
「テレビ局の記者の質問は答えを得られず」(朝日)、「別の記者が質問する順番だとして質問者をたしなめた」(毎日)、「民放記者の質問を制止」(読売)
こうなった背景はものの見事にネグレクトされている。実情を明かそう。テレビ朝日記者と共同通信記者の質問が終わったところで、司会役の岡島一正議員が 「では次は、フリーの方も含めて」と指定した。記者クラブ限定ではなくフリーにも質問の機会を与えるためだ。会見場の雰囲気から察して、流れはフリーや ネットに来ていた。
そこに「TBS・News23」松原耕二キャスターが、紛れ込んで挙手したところ当たった。松原キャスターは社名も氏名も名乗らずに質問を始めた。フリーやネット記者を装ったのである。姑息と言わざるを得ない。
松原氏の正面の席に座っていた筆者は言った。「社名と氏名を名乗って下さい」と。松原氏は渋々名乗った。
そこで初めて小沢陣営が『ルール違反』と気づき、松原氏の質問を制止したのである。
記者会見に出席するマスコミ記者の人数は、フリーやネット記者の数十倍に上る。松原キャスターのような手法がまかり通ったら、フリーやネット記者が質問する機会は著しく減少するのだ。
「質問する記者は社名と氏名を名乗る」。記者会見における最低限のエチケットである。鉢呂経産相辞任会見でヤクザまがいの暴言を吐いた某通信社の記者も、社名と氏名を名乗らなかった。
リンク:
(1)小沢一郎の、初公判後の記者会見ビデオ(TBSが割り込むルール違反とマスコミの偏向報道の嘘がすぐわかる)
(2)元検事の郷原氏、小沢氏初公判に「どこかが狂っている」
(3)小沢裁判の経緯
(3B)デモ隊に罵声をかける、これが在特会か?在特会恐い
(4)小沢一郎の初公判後の記者会見での声明文
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